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介護相談の記録・管理を効率化するには?自治体の相談窓口における課題と改善方法
この記事でわかること
- Excel台帳による介護相談管理が限界を迎える理由と具体的な課題
- kintoneで受付・相談内容・継続対応の記録を一元管理する仕組み
- 名寄せや帳票出力、リマインド通知によって相談業務を効率化する方法
- kintone導入による訪問件数の増加や約42%の工数削減などの効果
- 「高齢者介護総合相談状況管理」の特徴とセミオーダー型の導入・運用支援内容
相談履歴の名寄せをノーコードで実現!kintoneの文字列結合活用ガイド
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高齢者の生活相談や介護相談を受け付ける自治体の窓口では、過去の相談履歴を確認するために紙やExcelの記録を探し、来庁者を待たせてしまう場面が今も少なくありません。
相談員が複数名いても記録用のExcel台帳は1つで、誰かが開いている間は他の職員が入力できない。外回りの面談記録も、庁内サーバーにある台帳には出先から接続できないため、手書きのメモを持ち帰り、夕方にまとめて転記してから退庁する。こうした運用が、多くの自治体で日常的に続いています。
相談員個人の努力で回っているうちは問題として表面化しにくいものの、相談件数の増加や担当者の異動を機に、Excel台帳による管理は限界を迎えます。過去の経緯が追えない、対応の抜け漏れが起きる、複数課での情報共有が進まないといった課題は、相談業務そのものの質に直結します。
本記事では、ある自治体の介護総合相談業務を例に、Excel台帳による相談管理がなぜ限界を迎えるのか、そしてkintoneで相談記録をデータベース化することで業務がどう変わるのかを、導入前後の具体的な姿から解説します。あわせて、M-SOLUTIONSが自治体向けに提供する「Smart at 自治体DX」の業務アプリ「高齢者介護総合相談状況管理」についてもご紹介します。
目次
介護総合相談の業務とは
介護総合相談の窓口では、高齢者などの介護が必要と思われる事案について、住民からの連絡・相談・通報を受け付け、相談内容や本人へのヒアリングをもとに次のアクションを検討し、管理しています。業務は大きく2つの系統に分かれます。ひとつは、生活困窮や介護の必要性、市のサービス案内といった総合相談。もうひとつは、家族による高齢者への虐待が疑われる案件の相談です。後者はチェック項目が多く、出力する帳票も別様式になるため、運用そのものを分けて管理する必要があります。
窓口や電話で受けた相談は、まず受付台帳に全件登録し、内容に応じてどちらかの系統に振り分けます。1回の面談で完結する方もいれば、障害者手帳や介護認定の申請などで継続的に訪問するケースもあり、その対応履歴は面談ごとに「ケース記録」として積み上がっていきます。つまり、この業務は「受付」「相談内容」「継続対応」という複数の記録が、同じ相談者を軸につながって初めて成り立つものです。ここに、Excel台帳では対応しきれない理由があります。
なぜExcel台帳では限界なのか
自治体の業務は基本的にExcelとWordで動いています。厚生労働省の介護保険システムのような国の大きな仕組みはあっても、自治体独自の業務には専用システムがなく、Excelを駆使して管理し、県や国への報告時にはExcelで集計した数字をWordに手打ちする。相談記録の提出が求められれば、セルの内容をひとつずつコピーして貼り付ける。多くの自治体で、こうした運用が当たり前になっています。ただ、この運用は非効率です。介護相談の記録をExcel台帳で管理すると、次の5つの問題が起こります。
台帳が1つしかない
最初に表面化するのは排他制御の問題です。相談員が複数いてもExcelで台帳を管理する場合、ファイルは1つにせざるを得ず、誰かが記録を取っている間、他のメンバーは待つしかありません。窓口対応の合間を縫って入力しようとしても、ファイルが開けない。この小さな待ち時間が、日々積み重なっていきます。加えて、バックアップは取っていても毎日リアルタイムではないため、「台帳のデータが壊れないか」という不安も常につきまといます。
出先で記録が残せない
台帳は庁内サーバー上にあるため、訪問先には持ち出せません。面談の内容は手書きでメモし、帰庁してからExcelに打ち直す。訪問件数が増えるほど、夕方の入力作業が膨らみます。記録を残すための時間が、相談を受ける時間を圧迫していきます。
同じ人の履歴がつながらない
Excel台帳は、相談を受けた順に行が増えていきます。同じ方の面談が3回、4回と続くと、その記録は台帳のあちこちに飛び飛びに散らばります。さらに同姓同名の方がいれば、履歴が混ざって収拾がつかなくなります。ファイルが分散しているため、過去の履歴を確認するだけで時間がかかる。冒頭の「30分お待ちください」は、この構造から生まれます。
転記作業が多くなる
受付台帳のExcelに氏名と住所を入れ、総合相談のExcelに同じ内容をコピーし、虐待案件であればさらに別のExcelへ転記する。1件の相談が、3つのファイルに同じ情報を手で写す作業を生みます。転記の回数だけ、入力ミスと確認作業も増えます。
会議と報告が手作業になる
週次の定例会議では、各担当者の案件をすべて印刷して人数分配布し、1件ずつ読み合わせて確認しています。月例報告でも、Excelの台帳を目視で数えながら集計している自治体は少なくないはずです。資料作成だけで数時間を要するのが実情です。
これらは、担当者個人の工夫で解消できる問題ではありません。相談者を軸に複数の記録を関連づけて保持する、という「データの持ち方」そのものを見直す必要があります。1枚のExcelに収まらなくなった記録を、リレーショナルなデータベースとして再構成する。kintoneによる相談管理は、この考え方を土台にしています。
kintoneで介護相談管理をデータベース化
そこでオススメなのが、kintoneで管理する方法です。自治体でのkintoneの利用は、給付金の支給やマスク配布といったコロナ禍の業務が多く見られましたが、介護総合相談の管理についても便利に使うことができます。
4つのアプリで相談の流れを再現する
介護総合相談の業務は、次の4つのアプリで構成しています。
| アプリ | 役割 |
|---|---|
| 受付台帳 | 窓口・電話で受けた相談を全件登録し、氏名と生年月日から過去履歴を照会する |
| 相談受付票 | 総合的な相談内容を管理し、総合受付票として出力する |
| 高齢者受付票 | 虐待案件を管理し、専用の受付票を出力する(チェック項目が多い) |
| ケース記録 | 継続面談の対応履歴を1件ずつ蓄積し、次回面談の要否と予定日を保持する |
受付台帳からアクションボタンひとつで相談受付票または高齢者受付票のアプリに展開でき、氏名や住所を転記する必要はありません。すべてのデータがリレーションでつながっているため、どのアプリから見ても、その相談者に関する記録全体をたどることができます。ケース記録に次のアクション予定日を登録しておけば、リマインド通知を受け取ることも可能です。
ふりがなと生年月日で「同じ人」を見つける
この仕組みの要は、名寄せです。ふりがなと生年月日を文字列として結合したフィールドをキーにして、同一人物の記録を自動的に紐づけています。文字列の結合にはM-SOLUTIONSの「文字列結合プラグイン」を使っており、JavaScriptを書かずに設定だけで実現できる構成です。
新規受付で氏名と生年月日を入力した瞬間、関連レコード一覧に過去の受付番号と相談記録が表示されます。電話口で名前と生年月日を聞き取った時点で、「昨年ご相談いただいた方ですね」と応対ができます。過去の記録が載ったキャビネットを開く必要も、待っていただく必要もありません。
帳票はボタンひとつで指定様式に出力
自治体の相談業務には、厚生労働省から「この帳票で出力してください」と指定される様式と、市の中で「様式5」などと定義された様式があります。帳票出力プラグイン「レポトン Pro」を使い、kintoneのデータをこれらの帳票にそのまま流し込みます。受付台帳やケース記録はレコード画面のボタンひとつで出力でき、週1回など一覧からまとめて出力する運用にも対応しています。現行の業務フローを変えずに、帳票だけが自動化される形です。
事例
実際に導入した自治体の事例の動画はこちらです。三重県志摩市様にご導入いただいております。
※M-SOLUTIONS株式会社はソフトバンク株式会社のグループ会社のため、ソフトバンク株式会社のYoutubeに掲載いただいております。
また事例の記事も掲載しています。
導入後の効果
導入した自治体では次のような効果がありました。
訪問件数が1日3件から4件に
外出時はiPadを持ち出して面談の場で直接kintoneに入力するようにしました。帰庁してから打ち込む時間がなくなった結果、1日3件しか回れなかった訪問が4件回れるようになっています。相談受付を手厚くできるようになり、市民サービスの向上につながりました。
週次定例が紙からゼロに
次回訪問予定日が「今日から前後7日以内」のレコードを抽出し、kintoneの画面をそのまま投影して会議を進めています。過去1週間の訪問履歴と次回の対応方針をその場で確認し、クローズか継続かを判断していく。印刷も配布も不要になりました。
月例報告の資料作成が約2時間からゼロに
高齢者の相談者数、総合相談と高齢者虐待の内訳、地区別の件数などは、クロス集計とグラフでリアルタイムに表示されます。住所から地区を登録しているため、地区別の集計もそのまま出ます。庁内会議には画面のスクリーンショットをPowerPointに貼るだけで済み、正式な報告はCSVで出力します。会議中に「この地区の内訳は?」と聞かれても、その場で掘り下げて答えられるようになりました。
業務全体で約42%の工数削減
導入前後の作業時間を業務ごとに比較したところ、年間の合計時間は約1,480時間から約855時間へ、625時間・42.2%の削減という結果になりました。申請受付の受理や各受付票・ケース記録の起票は1件あたり40%の短縮、週次定例の事前資料作成と月次の件数報告資料作成は100%。作業そのものがなくなっています。効率化された時間はそのまま相談者への対応に充てられています。
パッケージを入れて終わりにしない「セミオーダー」という考え方
本記事でご紹介した4つのアプリは、M-SOLUTIONSが自治体向けに提供する「Smart at 自治体DX」の業務アプリのひとつ、「高齢者介護総合相談状況管理」としてパッケージ化しています。提供にあたっては、kintoneのスペース単位でアプリ一式を構築したうえで、実際に業務が回る状態になるまでの初期設定と、現行帳票に合わせた帳票設定までを含めて対応します。
運用開始後の帳票変更や項目追加は、ライセンス費に含まれる保守の範囲で対応し、サポート窓口はM-SOLUTIONSが一元的に担います。厚生労働省の帳票は3年に1回程度の頻度で改定されるため、こうした継続的な保守は実運用に欠かせない要素です。
この提供形態を「セミオーダー」と呼んでいるのには理由があります。kintoneの活用には「作る」段階と「使う」段階があり、プラットフォームとアカウントだけを用意しても、職員がすぐに業務で使いこなせるわけではありません。そこで、まず設定済みのパッケージを「使う」ことから始めていただき、運用のなかで「ここを直したい」という要望が出てきた部分から、職員自身で手を加えていただく。
こうしてナレッジが蓄積された段階で、新しいアプリを一から作れるようになる。最終的には、自治体の職員自身が業務アプリを実装できる状態を目指しています。職員向けのkintone説明会や研修、伴走支援といったメニューを用意しているのも、この「使う」から「作る」への移行を後押しするためです。
すべてをベンダーに委ねるのではなく、簡単なものは内製し、複数のアプリを連携させるような複雑な業務はベンダー側が引き受ける。この役割分担があるからこそ、導入したシステムが現場に定着し、業務の変化に合わせて改善を続けられます。
なお、Smart at 自治体DXには介護総合相談のほかにも、介護認定審査会の運営管理、消防団員名簿と活動手当の管理、罹災証明書の発行管理、公共施設予約管理など、福祉・防災・庁内業務・施設管理といった分野ごとに数十種類の業務アプリがあります。プラグインはひとつの自治体ドメイン契約で庁内各部署が共有できるため、介護総合相談を入口に他の課へ横展開しやすい点も特徴です。
まとめ
介護相談の記録が煩雑になる根本的な原因は、担当者の努力不足ではありません。相談者を軸に複数の記録を関連づけて保持できていないという管理構造にあります。受付、相談内容、継続対応の各記録をリレーションで結び、ふりがなと生年月日をもとに同一人物を自動で紐づける。それだけで、履歴の照会は数秒で済み、転記作業はなくなり、出先からの記録入力も可能になります。実際に導入したある自治体では、訪問件数の増加と4割の工数削減という具体的な成果につながっています。
M-SOLUTIONSはソフトバンクグループの関連企業であり、サイボウズのオフィシャルパートナーとして、自治体向けに「Smart at 自治体DX」の業務アプリを提供しています。現行の帳票や業務フローに合わせた初期設定から、運用開始後の保守・サポートまで一貫してご支援します。「紙・Excel台帳の限界を感じている」「何から手を付ければよいか相談したい」という自治体のご担当者様は、お気軽にお問い合わせください。
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