導入事例 SMC株式会社
国内13拠点年間20万人の来訪者管理を紙台帳からデジタルへ。年間約6,700時間の来訪者の手続き時間削減を実現
SMC株式会社
SMC株式会社様は、年間20万人超の工場来訪者管理をSmart at reception for FACTORYで刷新。紙台帳からQRコード受付へ移行し、年間約6,700時間の来訪者の手続き時間削減と約6.9万枚のペーパーレス化を実現。国内13拠点への一斉展開の経緯と効果を、総務部ご担当者様に伺いました。
ご担当者様
貴社について教えてください。
臼沢様:弊社、SMC株式会社は空気圧制御機器の製造・販売を手がけるグローバルメーカーです。工場の自動化に必要なキーデバイスとして、基本形で約12,000品目、カスタマイズ製品を含めると約88万品目を展開しています。
自動車、半導体、電機、食品、医療など幅広い業種の工場に製品を供給しており、空気圧制御機器の分野では世界トップシェアです。国内では草加・筑波・下妻・釜石・遠野・矢祭の6地区に生産拠点を持ち、海外では5か国の量産工場と主要国をカバーする地域工場を持ち、約80の国と地域に販売拠点を展開。売上構成比は海外が約8割を占めるなど、グローバルに事業を推進しています。
そのSMCが現在力を入れる国内戦略の一つが、岩手県遠野市に整備した「遠野サプライヤーパーク」です。SMC遠野工場の隣接地に主要サプライヤー約20社を集約したこの施設は、約400億円を投じて建設され、2026年1月に開所を迎えました。SMCとサプライヤーが同一エリアで連携する一貫生産体制により、品質向上・納期短縮・安定供給を実現するとともに、国内災害等の非常時においても製品供給を継続するBCP(事業継続計画)の強化拠点としての役割も担っています。
Smart at reception for FACTORYの導入のきっかけや背景を教えてください
臼沢様:当社の国内工場には、年間で合計20万人を超える来訪者があります。その半数以上が納品・集荷の業者さんです。従来は、来訪者が受付で会社名・氏名・訪問先担当者を伝え、運転免許証などで本人確認を行い、台帳に12項目を手書きで記入し、さらに守衛が担当者に電話連絡して、来訪者の属性に応じたバッジを渡すという流れでした。退場時にも、面会した担当者のサインをもらい、退場時刻を台帳に記入し、バッジを返却するという手続きが必要でした。
1回の入場手続きに3分程度かかりますが、5人、10人のグループでの来訪となると、全員分の手続きにかなりの時間を要します。工事業者の場合は20〜30人単位で来ることもあり、朝8時から9時、午後1時から2時のピーク時には長い列ができていました。多い工場では1日に150人から200人が出入りしますので、受付の負担はかなりのものでした。受付担当者の体制も、来訪者の多い草加工場では常時2名、ピーク時には3名、釜石では通常2名でピーク時3名、それ以外の工場でも最低1名を配置しており、相応の人手がかかっていました。
こうした状況の中で、経営層から生産性向上の方針が打ち出され、全社的にペーパーレス化を進めていました。当社は空気圧制御機器を通じて工場の機械化・自動化に貢献する会社ですから、少子高齢化による人手不足への対応は常に意識しているテーマです。将来的に人が介在しない仕組みづくりが必要だという議論は、社内で以前からありました。
具体的なきっかけとしては、無人受付のソリューションを検討していたところ、本社の情報システム部の担当者から「こういったソリューションがある」と紹介されたのがSmart at reception for FACTORYでした。
担当者としては、当初、岩手県のSMC遠野サプライヤーパークで先行導入し、問題がなければ段階的に全国展開するというミニマムスタートを想定していました。しかし、上層部が強い関心を示し、「メリットがあるなら一気に進めよう」ということになりました。結果的にSMC遠野サプライヤーパークの導入から1ヶ月ほどで、国内全拠点への展開が始まったという経緯です。
他社サービスとの比較検討はされましたか
臼沢様:はい、インターネットで同様のサービスをいくつか調べて比較しました。その中でSmart at reception for FACTORYを選んだ決め手は、まず当社が最低限実現したい要件をクリアできていたことです。M-SOLUTIONSさんとリモートで打ち合わせをした際に、現状の運用要件を照らし合わせて確認したところ、基本的にすべて対応可能でした。
特に重要だったのは、既存の運用をあまり大きく変えなくてよいという点です。また、工場なので来訪者の属性管理が必須で、一般のお客様、従業員、配送業者など属性に応じたストラップを使い分けている運用をそのまま継続できることもポイントでした。
あと、やはりQRコードで受付を一括処理できて、その履歴がデータとして蓄積・出力・集計できるという点が大きな強みだと感じました。実は今回の導入にあたって、年間の入場者数を推定する必要があったのですが、紙の台帳からデータ化するだけで、2人がかりで1週間近くかかったんです。
全拠点から過去の台帳を取り寄せるのですが、台帳はすぐ手の届く場所にあるわけではなく、遠くの書庫に保管されていることも多いんです。そこまで取りに行って、該当する年月のものを探し出して、持ち帰ってPDF化して、入力して、属性ごとに振り分けて……と、膨大な作業でした。2024年問題、いわゆるトラックドライバーの時間外労働の上限規制への対応で、運送業者の工場内滞在時間を集計した際にも、1ヶ月ほどかけてデータを整理したことがあります。システムを入れればログインして履歴を見るだけですから、そこの差は非常に大きいと感じました。
現在の活用方法を教えてください
臼沢様:基本的な流れとしては、まず当社の担当者が来訪予定者に対してQRコードを発行し、メールで事前に送付します。来訪者は当日、スマートフォンや紙に印刷したQRコードを持参し、守衛所に設置したiPadで読み取ります。読み取りが完了すると入門証が印刷されるので、それを身につけて入場していただきます。
従来は運転免許証などでの本人確認を行っていましたが、現在はメールアドレスでの事前認証に切り替えているため、受付での本人確認手続きは不要になりました。
守衛所のiPadやPCでは常に履歴画面を表示しており、入門証が発行された段階で来訪者の情報が更新されます。来訪者の属性はカスタム項目で管理しているので、守衛がそれを確認して、一般のお客様には黄色、配送業者には赤色といったストラップを渡すようにしています。
通知方法については、SMC遠野サプライヤーパークではソフトバンクのDialpadを使った外線発信を採用しています。ここには現在15社が入居しており、全社がiPhoneを使っているわけではないため、確実な通信手段として外線電話を選びました。一方、それ以外の国内12拠点ではFaceTimeを使っています。
FaceTimeを選んだのは、Dialpadは設定の属人化とランニングコストの問題があり、自社で利用しているMicrosoft Teamsはデバイスアカウントの取得調整が難しいという問題がありました。FaceTimeであれば当時は電話番号だけでアクティベーションでき、iOSデバイス同士なら問題なく使えました。加えて、ビデオ通話なので来訪者が実際にその場にいることを目視で確認できるという副次的なメリットもあります。
退場時はもう一度QRコードを読み込み、ストラップを返却するだけのシンプルな手順です。
カスタマイズ開発をお願いした点としては、カスタム項目を履歴の一覧画面に表示する機能と、そのデータをCSVで出力できる機能の2点です。工場ごとに管理したい項目が異なり、たとえば駐車場番号や駐車許可証番号といった情報を一覧上で把握できる必要がありました。来客用駐車場が100台規模の工場もあるため、ヘッドライトの消し忘れなどが発生した際に車両の特定ができるようにしておくことが重要です。それ以外の部分は標準機能とオプションの入門証印刷機能で対応しています。
導入後の効果はいかがですか
臼沢様:まず、来訪者の手続き時間と待ち時間の短縮です。従来の方法と新しい方法を年間20万人の入場者数で積算したところ、年間でおよそ6,700時間の削減になると見込んでいます。
次に、受付担当者の事務負担が大幅に軽減されました。これはどの工場のどの受付担当に聞いても、以前に比べてだいぶ楽になったという声が出ています。
ペーパーレスの面では、A4用紙に換算しておよそ69,000枚の紙の削減につながりました。用紙の購入コストだけでなく、警備関連書類は保存期間が長めに設定されているため、その保管スペースも不要になりました。
また、来訪者情報がデータとして即座に参照・集計できるようになったことも大きな効果です。以前は紙の台帳から情報を探すだけで大変な手間がかかっていましたが、今はシステムにログインして検索するだけで済みます。
さらに、アポなし訪問が減ったという効果もあります。従来は身分証さえ持っていれば入場できましたが、現在はQRコードの事前発行を原則としているため、事前にアポイントを取る意識が定着してきました。
リアルタイムでの入場者把握ができるようになったことで、たとえば「あのエンジニアはまだ工場内にいるか」をすぐに確認できるようになりました。建物の警備上も、退場処理がされていない来訪者がいる場合は現地を確認して、読み取り忘れと判断すれば手動でリセットするといった対応も可能です。将来的には、災害時の安否確認にも活用できると期待しています。
あと、導入後に利用者から聞こえてきた声として、来訪者がQRコードをかざした際にメールで通知が届く機能が便利だという意見がありました。電話に出られないタイミングでも、メールで来訪を把握できる。さらに、応対担当者を複数登録しておけば、たとえば、来訪者の予約はAさんが登録していても、実際の打ち合わせにはBさんやCさんも同席するケースがあります。
従来はAさんが来訪の連絡を受けた後、BさんやCさんに個別に電話をかけて「お客様が来ましたよ」と伝えていました。今は応対担当者を複数登録しておけば、来訪時にメールで同時に通知が届くので、そうした取次ぎの手間がなくなったというのは、現場で実感されている効果です。
今後の要望や期待することはありますか
臼沢様:1つ目は認証方式の拡充で、特に顔認証との連携を期待しています。現在、工場への入場手段はQRコードと顔認証の2つがあり、QRコードは主に外部の来訪者向け、顔認証は主に社内の従業員が他拠点に出入りする際に使っています。ただし、顔認証は別のベンダーのシステムを使っているため、受付には顔認証用のiPadとSmart at reception用のiPadが並んでいる状態です。多い工場だと4台ほどのiPadが並ぶことになります。これを集約できれば、端末管理の効率化とコスト削減の両面でメリットがあります。
また、既存の顔認証システムにはいくつか課題があります。入場した場所からしか退場できないという制約や、管理者権限がないとリアルタイムの入退場状況が確認できないといった点です。BCP対策の面でも課題を感じています。Smart at receptionで顔認証まで対応できるようになれば、こうした課題も解決できるのではないかと期待しています。
2つ目は、iPadの耐熱対策に関するサポートです。工場の受付はどうしても日の当たる場所にiPadを設置せざるを得ないケースがあり、直射日光でiPadが高温になると温度警告が表示されてシステムが一時的に使えなくなるということが、春から秋にかけて発生しています。おすすめのケースや直射日光を防ぐ器具などを、受付システムとセットで提案いただけると、他のユーザーにとってもありがたいのではないかと思います。
今後の展望を教えてください
臼沢様:将来的には、受付の完全無人化を目指しています。現時点ではまだ受付担当者を配置していますが、これはiPad操作のサポートや、FaceTimeに応答がない場合の電話取次ぎ、駐車場番号札やストラップの受け渡しなど、補助的な対応が必要なためです。ただ、3年、5年と経てば来訪者もiPadの操作に慣れてきますので、受付人員を段階的に減らしていくことは十分可能だと考えています。
20年前にスマートフォンが登場した当初は普及しないと言われていましたが、今では圧倒的な普及率です。時代とともにITリテラシーも変化しますので、時間の経過とともに受付人員がゼロになることを期待しています。
また、同時並行で車両用セキュリティゲートの導入も進めています。工場への来訪者の9割以上が車で来場するため、これが実現すれば大部分はセキュリティゲートで対応し、残りの1割をQRコードや顔認証で対応するという形になります。ただし、設置には広いスペースが必要で、既存の古い工場には物理的な制約もありますので、5年、10年、15年かけて段階的に進めていくことになると思います。
同じような課題を持つ企業に向けて、メッセージをお願いします
臼沢様:1つお伝えしたいのは、パッケージ製品を導入する際には、既存の運用を可能な限りシステムに合わせるという考え方が重要だということです。絶対に変更できない運用を除いて、柔軟に運用変更することで、スムーズなシステム導入が実現できます。
これまでいろいろなパッケージ製品の導入を経験してきましたが、既存の運用を変えたくないからシステム側で対応してほしいというケースでは、カスタマイズ費用が100万、200万、ときには1,000万円かかったり、工数が何百時間にもなったりと、非常に非合理な結果になることがあります。
ゼロベースで「最低限必要な運用はこれだ」と整理し、それ以外はシステムに合わせていこうというドライな考え方が、パッケージ製品の導入にあたっては大事ではないかと考えています。そうすればサービスインも早くなりますし、無駄な開発費用をかけずに済みます。
-ありがとうございました。
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