ブログ
【対談】あなたは知ってる?機械学習とChatGPTの違い。結局kintoneでどのAIを使えばいいのか。
ChatGPTの登場によって、AIはかなり身近な存在となり、ビジネスの場にも着実に浸透し始めている。
しかし、AIと言ってもさまざまな種類が存在していることをご存知だろうか。
例えば「機械学習」とChatGPTなどのLLM(大規模言語モデル)「テキスト生成AI」だ。
このAIの違いを理解することで、企業は自社のニーズに即したAIサービスの選定に大きく前進するだろう。
それはkintone×AIサービスも同じだ。
今回は機械学習AIサービス「AI-Hawk」や「AI-Buffalo」を提供する株式会社ゼンク代表取締役:増田氏と、生成AIサービス「Smart at AI」を提供するM-SOLUTIONS株式会社代表取締役社長CEO:植草に、「機械学習とテキスト生成AIの違いは?それぞれのAIでできること」をテーマにお話を聞いた。
株式会社ゼンクについて
増田氏:株式会社ゼンクの代表取締役、増田と申します。
大学卒業後にシステムエンジニアとして民間企業を長年担当し、2005年にゼンクを立ち上げております。
株式会社ゼンクの主な事業内容は「システム開発」です。
ここ数年はAI事業の「来店客予測AI-Hawk」や「物流予測AI-Buffalo」の提供も行っています。
「AI-Hawk」は主に小売店の需要予測、「AI-Buffalo」は輸送会社向けのサービスでして、今はkintoneとAIを融合するような形で事業を広げていきたいなと思っているところでございます。
植草:増田さんって、ECもやっていませんでしたか?
増田氏:弊社はずっと※OSS(オープンソースソフトウェア)をやっていますが、その一環としてECにも携わっていました。
kintoneを始める前は色々やっていましたね。
kintoneを始めた時から植草さん、M-SOLUTIONSと協業させていただいています。
※ソースコードが無料で利用可能などの特徴があるソフトウェアのこと
植草:サイボウズからお繋ぎしていただいて、最初は「見積もりアプリ」のカスタマイズを一緒にやりましたよね。
増田氏:そうですね。私もよく覚えています。
kintone×AI事業に参入したキッカケは?
増田氏:3年ほど前、AIの事業を譲り受けたことがキッカケです。
そのAI事業を引き継ぎ、いろいろな事業をやっていく中で、弊社が元々やっていたkintoneを始めとした業務システムとの連携ができれば、お客様はもっと喜んでくれるのではないかと考え、今の「AI-Hawk」・「AI-Buffalo」が誕生しました。
植草:弊社は増田さんのAI事業(機械学習)と違って、ChatGPT(生成AI)が出始めた時に初めてAIに触ったんです。
ChatGPTを見て『AIも我々が使えるところまで来たぞ』と感じました。
増田さんの「AI-Hawk」・「AI-Buffalo」のような機械学習は「学習データ」がないと難しかったんですよね。
いわゆるデータサイエンティストがいないと難しい。
それは難しかったので、大規模言語モデル(LLM)のテキスト生成AIを使ったサービスならすぐできるかも?と思ったことがキッカケです。
でも実は当初、単独のAIサービスを開発・提供したいなと思っておりました。
しかしMicrosoftなどがそういった分野で出してくるのは分かっていたので、『じゃあ、M-SOLUTIONSの強みってなんだろう?』と改めて考えた結果、kintoneとの連携に舵を切り、Smart at AIが誕生しました。
増田氏:おっしゃる通り、機械学習はデータサイエンティストがいないと難しいというのは今も変わりません。
その点は弊社としても事業開始時、ハードルが高かったことでもあります。
植草:学習データを揃える、予測する軸や、何を変数として予測させるのかということを作るのが難しいんですよね。
増田氏:そうなんですよ。
なので、弊社ではAI事業を譲渡していただいた企業と協業し、データ分析を重ねながら、データサイエンティストの育成も並行しています。
植草:データサイエンティストがいないと厳しいですもんね。
その点、ビジネスの参入障壁が高いことは良いことだと思いますが。
増田氏:SEだけの素養だと難しいですからね。
どちらかというと機械学習は数式です。
植草:そうですよね。
その点、テキスト生成AIはプロンプト、日本語だから学習コストは低い。
だからこそ「AI-Hawk」・「AI-Buffalo」はすごいと思いますよ。
増田氏:ありがとうございます。
私たちも『まだまだだ』と思っているので、どんどん高みを目指していかないといけません。
お客様には『統計と何が違うの?』と言われることもありますよ。
M-SOL:機械学習の予想と、統計って具体的にどう違うのでしょうか?
増田氏:統計というのは「結果」です。
機械学習による予測は随時、予測の結果が変わってくるという性質があります。
ここがシンプルに違うと思っています。
いわゆる「賢くなってくる」ということです。
植草:賢くなってくるというのは「予測と実際の差が埋まってくる」ということですか?
増田氏:その通りです。
長くご利用いただくほうが予測精度は高くなってきます。
植草:例えば小売店で、天気や気温から来客数を予測するみたいなことですよね。
増田氏:そうです。
ちなみに弊社のサービスではあまり天気は考慮していないんですよ。
天気ってそもそも外れる可能性自体が高いから。
M-SOL:天気は学習データに与えないということですね。
それが先ほど植草が言っていた『学習データを揃える、予測する軸、何を変数として予測させるのかということを作るのが難しい』という部分に繋がるんですね。
増田氏:そうですね。
データの規則性などは当然各社が違いますから、そうなってくるとチューニング(調整)しましょう、カスタマイズしましょうという話になります。
「機械学習」と「生成AI」の具体的な違いとは
植草:まずAIという大きな概念があり、その中に機械学習があります。
生成AIは機械学習も利用しているので、その派生系です。
機械学習はデータを入れて、予測値を出していくものです。
生成AI、ChatGPTのようなLLMは、単語自体を大量に学習させて、確率が高い単語を繋ぎ合わせながら、テキストを生成します。
ですので、大規模言語モデル(LLM)には機械学習(マシンラーニング)や深層学習(ディープラーニング)が使われているものではあります。
増田氏:得意・不得意ベースで言うなら機械学習は、構造化データ予測が得意です。
例えば、Excelみたいにバァーッと時系列でデータが並んでいるみたいなものです。
逆に文章や画像を扱うのは不得意です。
M-SOL:予測をしたいなら「機械学習のほうが良い」ということでしょうか?
増田氏:ChatGPTのようなテキスト生成AIでも可能ですが、まだ機械学習「AI-Hawk」・「AI-Buffalo」のほうが精度は高いという印象です。
植草:機械学習の方が“差がない”。
人が予測した結果に落とし込みやすいのが機械学習ですよね。
機械学習の「AI-Hawk」や「AI-Buffalo」では何ができる?
増田氏:需要の予測が可能となります。
インプットデータ、例えば売上のデータや商品の販売実績などの過去のデータを元に「AI-Hawk」・「AI-Buffalo」は“45日先”までの予測が可能です。
現状、生成AIを使うよりも精度が高いと考えています。
植草:現在のテキスト生成AIでは、データを綺麗にインプットさせて、的確なプロンプトを入力しなければならないので、ハードルが高いですね。
増田氏:実際のデモ画面がこちらになります。
増田氏:製造業の事例だと、スケジュール把握をもとに従業員の勤怠管理や、融資のタイミングなどの参考にしていただいています。
増田氏:データベースであるkintoneには、このようなデータは自然に溜まっていくと思います。
その溜まった過去データをもとに予測をしたいなんて企業にはオススメです。
M-SOL:AI-Hawk for kintoneをOSSとして公開されていますよね。その真意を教えてください。
増田氏:そこまで大した狙いはありませんが、無料で公開することによって、いろいろな情報を聞きやすいという考えはあります。
ただ、会社としては特別なことをやったわけではなく、OSSを出すという習慣があったからですね。
あと、OSSは担当したエンジニアが著作者として出しています。
個人の名前を出すことによって、個人としてのモチベーションにも繋がってほしいなと思っています。
一方、生成AIを活用した「Smart at AI」では何ができる?
植草:最近のアップデートでは「画像の読み込み」や、別アプリのデータを参照して生成できるグラウンディング機能、簡単にいうとRAG機能を追加しました。
<Smart at AI:画像をkintoneに保存するだけで、特徴などを書き出してくれる>
<Smart at AI:社内規約アプリを参照・検索し、質問に回答してくれる>
機械学習と混同しがちですが、「学習データに対する回答をしてほしい」というユーザーの声に応えた形になります。
他にもkintoneでメルマガを管理していて、そのメルマガ作成にも活用していただいている事例もあります。
事例の詳細はこちら
でも、やはりシンプルな使い方が一番分かりやすいですよね。
最近では住信SBIネット銀行さんが翻訳をキッカケにSmart at AIをご利用してくださいました。
翻訳ツールとAPI連携させるなんて、とっても大変ですし、そもそも翻訳ツールに入れて大丈夫な情報なの?みたいな問題がありますからね。
事例の詳細はこちら
機械学習と生成AIの使い分けは?
植草:「数値的な予測」をしたいという目的でしたら、機械学習が良いと思います。
テキスト生成AIはまだまだ確率論でテキストを生成しています。
具体的には、1+1=2を計算しているわけではなく、『次は2が来る確率が高いな』という感じで生成しているんですよ。
例えば要約する・カテゴリ分けする・翻訳する・OCRなど、テキストを生成してほしい場合はテキスト生成AIを利用するのがいいと思います。
kintone×AIや自社サービスの展望
増田氏:kintoneは業務システム。
一方、AIはツールという認識を持っています。
いずれは業務システムとAIは融合し、予測AIが入っている未来になると思います。
その中で弊社としては予測の精度をどうやって上げていくのかが焦点だなと考えています。
そして、その予測データから企業の意思決定を後押しできるようなサービスになりたいですね。
植草:kintoneの今までは意識してデータを溜めている感じです。
『このデータをkintoneに入れておいてね』みたいなイメージ。
我々もSmart at AIをリリースして感じた可能性ですが、kintone×AIによって、今よりは簡単にデータを集められる、自動的にデータが溜まっていますよっていう仕組みになるんじゃないかなと思っています。
例えば、先ほどご紹介した忘れ物管理アプリもですが、日報が自動で週次、月次にまとめ直してくれるみたいなイメージです。
今までは自分が「作る側」でしたが、「チェックする側」になる。
そうすることで、本当に自分がやらなくてはいけない仕事に集中できるように、Smart at AIは貢献していきたいと思います。
対談を終えて
各社サービスの事例を交えながら「機械学習」と「テキスト生成AI」について語っていただいた。
自社のAIニーズはどちらのAI分野が最適なのか、少しでもヒントを得ていただけると嬉しい。
kintoneを用いて数値的な予測をしたいなら、機械学習の「AI-Hawk」「AI-Baffalo」。
要約・翻訳・カテゴリ分け・OCRなどならテキスト生成AIの「Smart at AI」
具体的なAI活用のイメージが湧いたら、まずは各社にお問い合わせください。
サービスに関する問い合わせ先
「AI-Hawk」「AI-Baffalo」に関するお問い合わせはこちらから
Smart at AIに関するお問い合わせは下記よりお願いいたします。
その他の対談記事もぜひご覧ください。 |