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kintoneは自治体でも本当に使える?活用パターン・導入手順・事例まで徹底解説
この記事でわかること
- 自治体むけの導入前に知っておきたい基本知識
- アナログ業務をkintoneで置き換えるメリット
- 自治体でのkintone活用パターン
- 自治体におけるkintone導入の流れ
- 自治体向けkintone支援プログラム
- 自治体のkintone導入事例とその効果
- 小規模自治体でも成功できる理由
- 自治体のkintone導入でよくある不安とその解消法
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自治体の現場では紙や転記に依存した非効率な業務が未だ多く残り、業務の効率化と住民サービスの迅速化が妨げられています。そうした状況で多くの自治体でも導入され始めているkintoneですが、「自治体でも本当に使えるのだろうか」と疑問を抱く担当者も少なくありません。
本記事ではkintoneが自治体においてどのように活用されているのかを徹底解説します。庁内業務や住民対応、災害時の突発対応における具体的な利用シーン、導入までのステップ、コスト感、実際の自治体での導入事例まで網羅的に紹介。初めての導入を検討する方でも、この記事を読めば自組織に当てはめて導入をイメージできるようになります。
またkintoneの基本的な情報について詳しく知りたい方は是非こちらをご参考ください。
目次
自治体でもkintoneは活用できる|導入前に知っておきたい基本知識
自治体においても業務効率化や住民サービスの質向上が求められる中、ノーコードで柔軟な業務アプリを構築できるkintoneが注目を集めています。これまで民間企業で多く導入されてきたkintoneですが、近年では自治体での活用事例も増加しています。
この章では導入前に知っておきたいkintoneの特徴と、なぜ今自治体で求められているのかについて解説します。
なぜ今、kintoneが自治体で必要とされているのか
近年、自治体における業務デジタル化の必要性が急速に高まっています。その背景にはコロナ禍以降の業務見直しやリモート対応の必要性、総務省による自治体DX推進方針(デジタル田園都市国家構想など)などの要因があります。
これらの課題を解決する手段として、ノーコードで業務アプリを内製できるkintoneが選ばれています。職員が自らの手で必要な業務アプリを作れることで、現場主導の業務改善が可能になり、外部ベンダーへの依存度を下げられるのも大きなポイントです。
実際に文書回覧、出退勤管理、窓口予約、補助金処理、防災対応など、自治体ならではの業務課題に対応した導入事例もあります。
アナログ業務をkintoneで置き換えるメリット
自治体では申請や決裁、情報の回覧などにおいて、未だに紙やExcelに依存しているケースが多く見られます。しかし紙書類は紛失や記入ミスのリスクが高く、Excel管理も同じ情報を繰り返し入力する非効率を生み出します。ではアナログ業務をkintoneでデジタル化することでどのようなメリットが得られるのでしょうか?
紙・Excelから脱却し、業務のスピードが上がる
紙による申請・回覧・集計作業やExcelファイルの手入力・集約作業は、どうしても時間がかかり、ミスも起こりやすいのが現状といえます。kintoneならこうした業務をアプリとして構築し、入力から共有、集計までをひとつの流れで扱えるようになります。
これにより書類の受け渡しや押印の手間を削減、Excelのバージョン違いやファイル紛失を防止、数値集計や検索の自動化で作業時間を大幅短縮といった業務改善が見込めます。
情報共有がリアルタイムに、伝達漏れ・確認ミスが減る
自治体では口頭や紙メモ、回覧板など、非効率な伝達手段が多く使われています。kintoneにはコメント機能やステータス管理機能が標準搭載されており、情報共有の透明性とスピードが飛躍的に向上します。
例えば各担当者が現在の進捗状況をkintone上で即時確認できる、コメントで履歴を残しながらコミュニケーションが可能、情報が一元化され見落としや伝達漏れが起きにくいといったメリットがあります。
属人化を防ぎ、誰でも引き継げる業務に変わる
「この業務は○○さんしかできない」といった属人化は、自治体業務でしばしば課題となります。kintoneでは業務フローや過去の履歴をアプリ上に記録・管理できるため、担当者が変わってもスムーズに引き継ぐことが可能です。
その結果業務の「見える化」が進み誰でも対応できる仕組みづくりが実現できること、急な退職や異動でも業務が止まらない体制を構築できることなどの効果が得られます。
自治体でのkintone活用パターン|庁内業務から住民対応・災害対応まで
kintoneは「業務アプリをノーコードで簡単に作れる」という特長を活かして、自治体における様々な業務に柔軟に適応しています。ここでは庁内の内部業務から住民対応、災害時の緊急対応まで、どのようにkintoneが活用されているのかをカテゴリごとに解説します。
導入検討中の方が「自分たちの業務に置き換えられるか?」を具体的にイメージできるよう、ユースケースでご紹介します。
日々の庁内業務を効率化する使い方
庁内業務では、紙やExcelで行われがちな以下のような事務作業にkintoneが活用されています。文書回覧や決裁申請、備品の購入や貸出申請、出退勤管理や出張申請などはすべて、kintone上でアプリ化が可能です。
例えば申請書フォームをkintoneで作成すれば、入力・承認・通知までを一気通貫で処理でき、紙回覧の手間がなくなります。また業務フローが明確になることで申請の滞留や確認漏れも防止できます。
住民対応・窓口業務の見える化とスピードアップ
住民からの問い合わせや申請受付といった対外的な業務においても、kintoneは有効です。各種補助金や給付金の申請を受け付けて進捗を管理したり、住民から寄せられる問い合わせの記録や対応履歴を共有したり、さらに窓口予約や対応スケジュールを一元的に管理することが可能になります。(別途、プラグインや連携サービスは必要な場合あり)
その結果「誰が、いつ、何に対応したか」が明確になり、住民対応の質とスピードの両方が向上します。また問合せや申請の内容を一元管理することで住民への対応履歴を残せるため、継続的なフォローアップや説明責任にも対応できます。
突発業務や災害対応にも柔軟に対応
地震・台風・感染症対応など、突発的で短期集中型の業務にもkintoneは強みを発揮します。
避難所の開設や人数管理、物資配布の状況把握、給付金などの緊急申請対応フローの構築、さらに職員への連絡や安否確認の記録と共有といった業務をスムーズに進められるのが特長です。
例えば災害時に避難所の開設状況や避難者数を即時に登録・更新すれば、庁内全体でリアルタイムに情報共有が可能となります。職員の交代対応や支援物資の最適配分にも有効です。
自治体におけるkintone導入の流れ
kintoneはノーコードで直感的に操作できるため、誰でも扱いやすいツールです。しかし自治体の業務に本格導入する際には、やみくもに始めるのではなく段階的なプロセス設計が欠かせません。
庁内には多様な部署や業務が存在するため、導入手順を整理せずに進めると現場に定着しにくくなります。このセクションでは、自治体がkintoneを導入する際の流れを4つのステップに分けて紹介します。
課題把握|庁内の課題と改善ニーズを洗い出す
まず最初に行うべきは、現場で抱えている業務課題を丁寧に可視化することです。システムを導入する前にどこに無駄があるのか、どの作業が負担になっているのかを整理する必要があります。
申請や決裁の流れ、情報共有の方法などを見直すことで改善の余地が明確になります。この段階を飛ばして導入を進めると、現場に合わず結局使われなくなるリスクが高まります。
「何を改善したいのか」を職員レベルで明らかにすることこそが、導入成功のカギとなります。
現場の声から業務のボトルネックを可視化
課題把握のためには、まず自庁内のどの業務に非効率があるのかを洗い出すことが重要です。紙の申請書、手書きの回覧、口頭の引き継ぎ、Excelでの転記作業など、アナログな手法で進んでいる業務をリストアップし、それぞれの負担やトラブル頻度を確認してみましょう。
庁内アンケートの実施や職員へのヒアリング、各部署ごとの業務フロー図の作成などを通じて、「どの業務が時間や手間を取っているか」「属人化している業務はどこか」を具体的に見える化することが、導入検討の第一歩になります。
kintoneの対応可能な業務範囲を把握する
課題把握のために必要な要素として、洗い出された業務課題が本当にkintoneで改善できるかどうかを見極めることも重要です。
特に紙やExcelでの手作業が多く発生している業務や、複数人で情報を共有・更新する必要がある業務、担当者に依存して属人化している業務、そして進捗や履歴の把握が難しい業務は、kintoneとの相性が良く高い効果が期待できます。
例えば回覧文書の承認プロセス、補助金の受付管理、職員の出退勤記録などはkintoneでアプリ化すればリアルタイム管理や自動集計が可能になり、作業時間やミスの削減につながります。
アプリ作成|kintoneを使って業務アプリを内製する
課題が見えたら、次のステップは実際に業務アプリを作成することです。kintoneでは専門的なプログラミング知識がなくても、テンプレートを利用したりドラッグ&ドロップで項目を配置したりと直感的な操作でアプリを構築できます。
現場の職員が自分たちの業務に合わせてアプリを形にできる点は大きな強みであり、こうして完成したアプリが業務改善の具体的な一歩となります。
アプリ構成と作成手順を理解する
アプリを作成する際には、まずフィールドの種類や配置をどう設計するかを理解する必要があります。
さらに承認フローなどを設定できるプロセス管理や、データをどのように表示するかを決める一覧ビューやグラフの設定も欠かせません。これらの構成要素をバランスよく設計することで、使いやすさと業務効率の両方を実現できます。
特に自治体の業務は部署ごとに流れが異なるため、現場の実態に合わせた調整が重要です。
実際の業務フローに即した設計を心がけることで、誰もが利用しやすく実用性の高いアプリを作成できます。
テンプレートのサンプルを活用して時短構築
サイボウズが提供している自治体向けテンプレートを活用すれば、ゼロから作るよりもスピーディにアプリを構築できます。用途別テンプレートをカスタマイズするだけで現場適用も容易です。
テンプレートの入手方法を理解し編集や追加の際の注意点を押さえ、さらに導入初期にありがちな失敗例とその対策を知っておくことで、職員でも安心して内製を進めることができます。
効果検証|トライアル・検証フェーズを通じて導入判断する
アプリを作成した後はいきなり全庁展開に進むのではなく、まずは小規模でトライアルを実施して効果を検証することが大切です。
限られた範囲で実際に運用してみることで使い勝手や業務への適合度を確認でき、改善点や課題も明確になります。さらに得られた効果を数値や職員の声として記録し、実績として整理しておくことで庁内への説明や上層部への報告にも説得力が生まれます。
こうした段階を踏むことで導入が現場に定着しやすくなり、成功する全庁展開への確実なステップとなります。
無料トライアル環境を小規模で試す
kintoneには30日間利用できる無料トライアルが用意されており、アプリの作成から共有、日常的な利用まで全機能を試すことができます。
この期間を活用することで、実際の業務にどの程度フィットするのかを確認できるのが大きな特徴です。職員が実際に入力や承認を行うことで、操作性や利便性を肌で感じられます。同時に現場での課題や改善点も自然と浮かび上がり、導入後の修正ポイントを明確にできます。
トライアルの目的は単なる体験ではなく、効果と課題を可視化し導入判断の材料を得ることにあります。
トライアルの結果を庁内展開の材料にする
トライアルで得られた改善効果や現場の反応を上層部や他部署に共有し、全庁展開の合意形成を進めます。「担当者の声」や「作業時間の削減効果」など定量・定性データを添えると説得力が増します。
加えて改善前と改善後の業務フローを比較する資料を用意したり、実際に職員がkintoneを操作している様子を簡単にデモンストレーションしたりすることで、まだ利用していない部門の職員や管理職にも効果を直感的に理解してもらいやすくなります。
また数字だけでは伝わりにくい「作業のストレスが減った」「職員同士の連携がスムーズになった」といった現場の実感を交えて発表することも効果的です。こうした具体的な成果と生の声を組み合わせることで、庁内での合意形成が加速しスムーズな全庁展開につながります。
全庁展開|庁内全体での利用を進める
トライアルで十分な手応えが得られたら、次はいよいよ本格的な導入フェーズに進みます。ただし最初から全庁展開を目指すのではなく、小さな成功事例を軸にして庁内へ広げていくことが効果的です。
成功事例を共有することで、他の部署にも「自分たちでも使える」というイメージが湧きやすくなり、現場での理解と協力を得やすくなります。さらに実績をもとにすれば上層部の承認も得やすく、導入に向けた合意形成がスムーズに進みます。
小規模の成功事例を庁内で共有
例えば「出勤管理アプリで集計時間が○時間削減された」など、具体的な成果をもとに他部門の関心を引きましょう。身近な成功例は共感されやすく、波及効果を生み出します。
さらにこのような成果を単に数値で示すだけでなく、実際に担当した職員の声や利用してみて感じたメリットをあわせて共有するとより説得力が増します。
「作業の負担が軽くなった」「問い合わせにすぐ対応できるようになった」といった実感を交えた事例は、他部署の職員にとっても自分ごととして想像しやすく、導入に対する抵抗感を和らげます。
支援ツールを活用しながら全庁導入へ
自治体向けには「まるごとDXボックス」といった導入支援パッケージも用意されており、導入手順や活用事例、業務アプリのテンプレートなどが揃っているため、初めての導入でも安心して取り組める仕組みが整っています。
現場の職員だけで進めることに不安がある場合でも、こうした支援を活用すれば負担を大きく軽減でき、さらに部門ごとの取り組みを横に広げる役割も果たすことで庁内全体への展開を後押しします。その結果、kintoneの導入をよりスムーズかつ効率的に進めることが可能になります。
kintone導入にかかる費用は?自治体規模別の料金目安と試算方法
kintoneは月額制で利用できるクラウドサービスですが、自治体での導入にあたっては予算計画や費用対効果の見極めが重要です。
このセクションではkintoneの基本的な料金プランの内容と自治体規模に応じた費用感の目安、そして試算時のポイントについて解説します。
kintoneの料金プランとは?月額費用と主な機能の違いを解説
kintoneは1ユーザーあたり月額料金で利用できるシンプルな価格体系です。自治体向けにはアカデミックガバメントライセンスが適応になります。基本的には以下の2つのプランから選択することになります。
プラン名 | 月額費用(税込) | 主な機能 | 想定される用途 |
kintone
アカデミックガバメント スタンダードコース |
1,080円/ユーザー | アプリ作成、外部連携、API利用など | 本格的な業務改善、全庁内展開に向き |
kintone
アカデミックガバメント ライトコース |
620円/ユーザー | アプリ作成、基本的な共有機能のみ | 基本機能だけを利用した限定的な用途 |
スタンダードコースではAPIや外部サービスとの連携も可能なため、全庁導入や高度な業務改善を目指す場合に適しています。一方まずは小規模から試したい場合はライトコースでも始める方法があります。
kintoneのアカデミックガバメントライセンス以外の詳しい料金体系や機能比較を確認したい方はこちらの記事がおすすめです。
自治体規模別のkintone料金目安を試算する
では実際に自治体で導入する際の費用はどれくらいかかるのでしょうか。以下は規模別のスモールスタートのシミュレーション例です。
自治体規模 | ユーザー数目安 | 月額費用(税込) | 年額費用(税込) |
小規模自治体(人口3万人未満) | 10名 | 10,800円 | 約129,600円 |
中規模自治体(人口5~10万人) | 30名 | 32,400円 | 約388,800円 |
大規模自治体(人口20万人以上) | 100名 | 108,000円 | 約1,296,000円 |
このようにkintoneはスモールスタートから段階的に拡大できるのが特徴で、初期費用を抑えつつ現場での効果を確認しながら拡張していけます。
試算時に考慮すべきポイント
費用を試算する際には、導入対象とする業務や部門の範囲をあらかじめ整理し、地図システムや文書管理といった外部サービスとの連携が必要かどうかを確認しておくことが重要です。
またアプリを職員が内製で対応するのか、それとも外部パートナーに構築支援を依頼するのかによっても費用感は変わります。さらに有料プラグインやオプション機能を追加する場合には、その分のコストも見込む必要があります。
加えて総務省の「自治体情報システム強靭性向上モデル」や、DX推進交付金といった補助制度を活用すれば、導入のハードルを下げることも可能な場合があります。
自治体向けkintone支援プログラムの紹介
kintoneを初めて導入する自治体の中には、「どこから手をつけていいか分からない」「職員だけで進めるのは不安」という声も少なくありません。そうした不安を解消するために、サイボウズ社などが提供する自治体向けの支援プログラムを活用することで、よりスムーズな導入・運用が可能になります。
ここでは、代表的な支援パッケージと導入をサポートする資料・トライアルについて紹介します。
自治体向けkintone支援メニュー「まるごとDXボックス」
「まるごとDXボックス」はサイボウズとそのパートナーが提供する自治体専用のkintone導入支援パッケージです。自治体の業務課題に合ったアプリテンプレートや導入ガイド、活用事例集などがひとまとめになっており、初めての自治体でも導入の流れをイメージしやすくなっています。
パッケージには職員向けの導入手順書や利用マニュアル、出退勤や回覧、申請などに活用できる自治体向け業務テンプレート、他自治体の成功事例や工夫例の紹介、さらに上層部への説得にも活用できる説明会や勉強会用の資料が含まれています。
「とりあえず試してみたいけど、職員だけでは不安…」という場合でも、このパッケージを活用すれば最初の一歩がぐっと踏み出しやすくなります。
自治体向けkintone導入資料のご案内と無料トライアル申込み方法
導入前にさらに情報を集めたいと考える自治体に向けては、活用事例や費用感、導入ステップをまとめた無料の資料が配布されており、庁内での検討や稟議にも役立てることができます。
加えて30日間利用できるトライアル環境も用意されているため、実際にアプリを作成して操作感を確かめたり、現場業務に当てはめて効果を検証したりすることが可能です。こうした準備を通じて、導入前の不安を解消し、スムーズな検討と判断につなげられます。
資料でわかる内容:導入事例・費用・支援内容
無料配布されている導入資料では、自治体での活用事例を規模別や業務別に確認できるほか、導入にかかる費用感やステップを把握することができます。
さらに各種テンプレートや支援ツールの概要についても紹介されており、自治体内部での稟議や説明に活用できる構成となっています。そのため上司や他部門への提案資料としても有効に使うことができます。
無料トライアルの申込み方法と流れ
kintoneは30日間の無料トライアル環境を簡単に申し込むことができます。
- サイボウズ公式サイトから申込みフォームへアクセス
- 必要情報を入力して送信(数分で完了)
- 登録後、即座にトライアル環境が利用可能
この環境では、アプリ作成やデータ入力、ワークフローの設計など、すべての機能を試すことができます。
自治体のkintone導入事例とその効果|課題別の紹介
kintoneはすでに全国各地の自治体で導入が進んでおり、日々の現場業務の効率化や住民サービスの向上に役立っています。
紙やExcelに依存していた従来の業務プロセスを置き換えることで、作業時間の削減や情報共有の迅速化といった効果が具体的に現れているのが特徴です。
この章では防災分野での避難所運営、福祉分野での給付金処理、教育分野での文書管理など、分野別の導入事例を取り上げます。
実際の取り組みを通じて、自治体がどのようにkintoneを活用しているのかを具体的に紹介し、導入によって得られた成果を明らかにしていきます。
防災業務:避難所運営の効率化
災害時には、限られた時間の中で迅速かつ的確な情報共有と対応が求められます。特に避難所の開設や避難者の人数・属性の把握、物資の管理といった業務は突発的に発生し、しかも複数拠点で同時進行するため、従来の紙や電話によるやり取りでは情報が錯綜して混乱が生じがちです。
こうした防災業務において、kintoneは職員間での連携と情報の可視化に大きく貢献します。避難所ごとに入力された情報がリアルタイムで本庁に共有されることで、現場と本部の意思疎通がスムーズになり、迅速な支援判断につながります。
このようにkintoneは、災害対応における混乱を抑え、組織として一貫した対応を支える基盤となっています。
避難所入所時の洗浄区分を自動判定(大分県別府市)
大分県別府市では避難所における入所対応で、これまで避難者の健康状態や属性ごとに適切な居住エリアを手作業で分類していました。
その結果担当職員の判断に依存する部分が大きく、業務の属人化や対応の遅れが課題となっていました。そこでkintoneを導入し、避難者情報を入力すれば自動的に区分を判定できる仕組みを構築したところ、職員の判断負担を大幅に軽減できただけでなく、受け入れ対応のスピードと正確性も向上しました。
出典:https://topics.cybozu.co.jp/news/2024/02/13-18733.html
福祉:補助金申請の迅速化
コロナ禍をきっかけに、自治体にはこれまで以上に迅速で正確な給付対応が求められるようになりました。
協力金や補助金の申請は数万件単位にのぼることもあり、従来の紙やExcelによる管理では処理の遅延やミスが避けられず、住民への支給が滞るリスクが大きな課題となっていました。
こうした状況に対応するため、申請の受付から進捗状況の管理、振込までのフローを一元的に扱えるkintoneが注目されています。職員が同じ情報をリアルタイムで確認できる仕組みによって、作業の重複や入力ミスを防ぎながら効率的に業務を進めることが可能です。
その結果膨大なデータをスピードと正確性の両立で処理でき、住民サービスの質も向上します。
2万件の協力金申請を一元管理(愛知県)
愛知県では、協力金の申請をExcelで管理していましたが、大量のデータを扱う中で手続きミスや処理の遅延が頻発し、業務に限界が生じていました。
そこでkintoneを導入し申請の受付から進捗状況、さらに支払までを一元的に管理できるアプリを構築した結果、膨大なデータをリアルタイムで把握できるようになりました。
これにより業務の効率が飛躍的に向上しただけでなく、住民対応のスピードと正確性も高まり、サービス全体の質が改善されました。
出典:https://kintone-sol.cybozu.co.jp/cases/aichikencho.html
処理スピードが約9倍に向上(兵庫県加古川市)
兵庫県加古川市では申請の処理をすべて手作業で行っていたため、1時間あたりの処理件数が少なく、対応の遅れが課題となっていました。
そこで職員自らがkintone上に申請処理用のアプリを作成し庁内で展開したところ、処理件数は1時間あたり12.8件から114件へと大幅に改善しました。
この取り組みにより現場主導で効率化を実現できたことが大きな成果となり、職員が自ら業務改善を進められるというkintoneの強みが改めて証明されました。
出典:https://www.kintoneapp.com/case/city-kakogawa?utm_source=chatgpt.com
教育:教育委員会内の文書管理
学校や教育委員会の業務では家庭調査票や学級名簿、各種報告書などを紙でやり取りするケースが今なお多く見られます。
これらの文書は配布・回収・集計といった作業に時間と労力がかかり、職員にとって大きな事務負担となっています。さらに紙による運用では記入漏れや紛失といったリスクも避けられず、業務の効率性や正確性を損なう要因となっています。
こうした状況に対してkintoneを導入すれば、調査票や報告書をオンライン化してデータとして一元管理できるため、ペーパーレス化と同時に業務プロセス全体の効率化を簡単に実現できます。
紙1万枚を削減、作業84時間分を圧縮(静岡県三島市)
静岡県三島市の教育委員会では家庭調査票や学級名簿などを紙で配布・回収・集計しており、その作業に膨大な時間と労力がかかっていました。
そこでkintoneを導入し家庭調査票をペーパーレス化するとともに、データの集約や分析を行えるアプリを構築しました。
その結果紙の使用量を1万枚削減し、作業時間も84時間短縮することに成功しました。業務効率が大幅に向上しただけでなく、学校と教育委員会の情報連携もスムーズになり、教育現場全体の負担軽減につながっています。
小規模自治体でも成功できる理由
予算や人員の制約が大きい小規模自治体では、新しいシステムの導入に慎重にならざるを得ないことが多くあります。しかし実際にはkintoneを小規模から取り入れて成果を上げている自治体の事例も少なくありません。
ノーコードで職員自身が運用を工夫できるため、外部に頼らずに自分たちのペースで改善を進められる点が大きな強みです。ここではそうした小規模自治体がどのように無理なく導入し、継続的に活用しているのかその具体的なポイントを紹介していきます。
小さく始めて大きく広げるkintone導入の進め方
kintoneは小さな規模から導入を始められるのが大きな特長で、1部署や1つの業務だけを対象にスモールスタートすることが可能です。
小規模自治体でもまずは限定的に導入して効果を検証し、その成果を職員間で共有することで現場の理解と共感を得やすくなります。こうして小さな成功体験を積み重ねながら横展開を進めていくことが、無理なく定着させるための鍵となります。
現場主導でも導入できる「内製のしやすさ」
kintoneはノーコードでアプリを作成できるため、外部に委託せずに職員自身が業務アプリを構築・改善できる点が、小規模自治体にとって大きな強みとなります。
これにより導入や運用にかかる費用を抑えながらも柔軟に業務改善を進めることができ、さらに独自の業務フローや地域特有のニーズにも対応しやすいのが特徴です。
自治体のkintone導入でよくある不安とその解消法【FAQ形式】
kintoneは柔軟性が高く便利な業務改善ツールですが、自治体で導入を検討する際には「果たして本当に自分たちの業務に合うのか」「セキュリティ面で住民情報を扱っても大丈夫なのか」といった不安の声が上がるのも自然なことです。
特に自治体の業務は住民の生活に直結するため、システム導入の失敗や情報漏洩といったリスクを極力避けたいという意識が強く働きます。そのため新しいツールの導入に前向きな職員であっても、庁内全体の合意形成を進めるには疑問や懸念を解消するプロセスが不可欠です。
この章では自治体が導入時によく抱く代表的な不安を取り上げ、それぞれに対してわかりやすく解消策を解説していきます。
kintoneはLGWAN環境でも使えるの?
LGWAN環境でのシステム利用については「本当に接続できるのか」と不安を抱く自治体も少なくありません。過去には庁内システムが閉域網に対応しておらず、外部サービスの活用が難しいという課題もありました。
しかしkintoneにはLGWAN-ASP対応のサービス提供実績があり、すでに多くの自治体でLGWAN接続による運用が行われています。導入時には必要な設定やネットワーク構成の支援も提供されており、閉域網環境でも安全かつ快適に利用できる体制が整っています。特にセキュリティ要件が厳しい自治体でも導入実績があることは、検討時の大きな安心材料となります。
kintoneのセキュリティは自治体利用でも安心できる?
自治体でクラウドサービスを導入する際には「セキュリティは本当に大丈夫なのか」という不安が必ず挙がります。特に住民情報を扱う業務ではわずかなリスクも許されないため、慎重な判断が求められます。
kintoneはISMAP(政府のクラウドサービス認定制度)に登録されており、国の基準を満たしたクラウドサービスとして高い評価を受けています。
また多要素認証やアクセス制御、通信の暗号化といった機能も標準で備えており、セキュリティポリシーの厳しい自治体でも安心して運用できる環境が整っています。
参考:https://kintone.cybozu.co.jp/security/
ノーコードって本当に職員だけで扱えるの?
自治体で新しいシステムを導入する際に多くの職員が懸念するのが「本当に自分たちで使いこなせるのか」という点です。特にプログラミングや専門的な知識がない職員にとっては、運用のハードルが高いと感じられがちです。
しかしkintoneはプログラミング不要の「ノーコードツール」であり、ITに不慣れな職員でも直感的に操作できるのが特長です。実際にExcelしか使ったことがなかった職員が自部署の業務アプリを作成し、それを庁内に展開して成功した事例も複数報告されています。
さらに用意されたテンプレートを活用したり、他部署のアプリをコピーしてカスタマイズしたりすることで、無理なくスモールスタートできる点も安心材料となっています。
まとめ
kintoneは庁内業務から住民対応、突発的な災害対応に至るまで、自治体が抱えるさまざまな業務課題に柔軟に対応できる業務改善プラットフォームです。ノーコードでアプリを内製できるため、ITの専門知識がなくても現場主導で業務改善を進められる点が大きな特長です。
実際に多くの自治体で導入が進んでおり、紙やExcelによる作業の削減、情報共有のリアルタイム化、属人化の解消といった明確な効果が出ています。特にスモールスタートでの運用が可能なため、小規模自治体でも無理なく導入しやすく、費用面でも柔軟な対応が可能です。
弊社ではkintoneの初期導入支援からカスタム開発、外部システム連携、kintoneを強化するためのプラグイン「Smart atシリーズ」を提供しています。自治体でのkintone導入をお考えの方は、ぜひお気軽にご相談ください。
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