導入事例 エン株式会社
商談準備作業が33%削減。受注率も20%向上
エン株式会社
エン株式会社は、自社で運用しているkintoneにSmart at AIを導入し、営業担当の商談準備作業の効率化を実現しました。業種や業界名を入力するだけで、その業界に関する情報を自動で取得できる仕組みを構築し、商談準備の時間短縮に加え、受注率の向上にもつながりました。
DX推進グループ グループマネージャー
高橋淳也様
貴社について教えてください。
高橋様:弊社は、採用から入社後の定着・活躍までを一貫して支援する総合人材サービス企業です。主力事業は日本最大級の総合転職サイト「エン転職」の運営です。設立以来、採用にとどまらず、教育や評価も含めた企業の総合支援に力を入れています。
最近の取り組みとしては、社会的なインパクトが特に大きい人材採用を支援するプロジェクト「ソーシャルインパクト採用プロジェクト」を展開しています。中央省庁の幹部候補、自治体のDX担当など様々な採用を、エン全社を挙げて支援しています。
kintoneに関する取り組みついて教えてください。
高橋様:弊社では2017年からkintoneを導入し、主要なプラグインをほぼすべて活用しています。トヨクモ製品、krewシリーズ、gusuku Customineなどです。現在はkintoneを1,400アカウント運用。累計9,000以上のアプリを作成しました。アプリ棚卸しを定期的に行い、常時800前後のアプリが稼働しています。
大手企業としてkintoneを本気で推進し、開発ガバナンスや研修カリキュラム、マニュアルも整備しました。こうした自社活用事例を社外に公開したところ、ノウハウの共有を求める声を多くいただき、現在ではkintoneの導入支援サービス「DXリスキリング」も展開しています。
Smart at AIを導入した背景を教えてください。
高橋様:弊社では2018年ごろから業務でAIを活用しています。一例が、「求人広告の文字校正AI」開発です。当時、求人広告の文字校正を目視で行っており、この改善にAI活用を検討。「エン転職」の求人広告を数万件学習させた独自のAIモデルを開発し、一定の成果も上げてきました。
ただ、AIモデルの開発には大きな工数がかかり、クイックに検証・改善することが難しいと感じていました。その後、ChatGPTをはじめとする生成AIの普及が進み始めました。エン社内での活用を目指し、ChatGPTやCopilotの推進に取り組みました。
ところが、思ったように社内に浸透しない。活用層と非活用層で乖離があったのです。多くのユーザーが「プロンプト作成」に敷居の高さを感じる。他社事例を見ても、どの会社でも発生している課題だと理解しました。一部の積極層は自発的にプロンプト開発を実験してくれます。それでも、全社的な利用が進まなければ業務改善にはつながりません。
「課題はプロンプト作成にある」と判断し、あらかじめプロンプトが設定された状態を作る必要があると考えました。そんな中、M-SOLUTIONS株式会社が「Smart at AI」をリリースすることを知りました。アプリ開発者がプロンプトを設定でき、利用者は通常どおりkintoneを使うだけで生成AIの恩恵を受けられる。「これは課題解決に有効だ」と考え、導入に至りました。
Smart at AIをどんな用途で利用していますか?
高橋様:様々な用途で活用していますが、最も利用されているのが商談準備です。私たちエンは総合転職サイト「エン転職」を運営しており、多様な業界の企業と商談を行います。介護、IT、金融、建築、小売など、本当に様々です。商談を円滑に進めるためには、事前に業界の知識やトレンドを把握しておく必要があります。
ベテランメンバーであればある程度の知識がありますが、新人や若手メンバーは事前調査に多くの時間を費やしていました。真面目なメンバーほど入念に調べるものの、業界理解が浅いため、勘所が掴めない。労力に見合った成果が得られないケースもありました。
業界理解に生成AIをうまく活用できる人もいます。ただ、ごく一部であり、全員が使いこなせるわけではありません。そこで、kintoneとSmart at AIを連携させた「業界分析専用のアプリ」をリリース。「鉄鋼業界」など知りたい業種を入力するだけで、3C分析の結果や市場動向などが30秒で表示される仕組みを構築しました。プロンプトを意識せずに使えるため、生成AIに苦手意識を持っていた方にも一気に広がっていきました。
導入効果はいかがでしたか?
高橋様:Smart at AIによる商談準備の効率化は、準備時間の短縮だけでなく、結果的に20%の受注率向上にもつながりました。具体的には、商談準備にかかる時間が33%削減され、たとえば30分かかっていた商談準備が20分で完了するようになりました。
事前に業界の情報や知識を把握できることで、業界の背景を踏まえた提案が可能となり、営業担当の自信にもつながりました。その結果、お客様からの信頼も得やすくなりました。
他にはどのような用途で使っていますか?
高橋様:もうひとつよく使われているのが、営業の商談ログ要約です。オンライン商談の文字起こしデータをSmart at AIで要約し、クライアント企業への御礼メールでお送りしたり、営業管理システム(SFA)に記録したりしています。今まで営業はオンライン商談をしながら商談メモを残し、商談後に議事録をまとめ、労力がかかっていました。TeamsやZoomの文字起こしの精度が上がり、会話ログがしっかり残るようになりました。
それを私たちがまとめたい観点でSmart at AIで整理・要約しています。業務効率化が一気に進みましたね。さらに商談フィードバック(以下、FB)も、Smart at AIで実装しています。TeamsやZoomの文字起こしデータをkintoneに登録すれば、商談の良かった点や改善点、受注につながるアドバイスなどが30秒で分析されます。営業育成でも、生成AIが効いていますね。
利用者の反響はいかがでしたか?
高橋様:営業側から「コア業務(商談)に専念できるようになった」と喜ばれています。導入してから1年程度ですが、利用件数は合計9535件(2025年8月時点)に上ります。
印象的だったのが「AIからのFBのほうが素直に聞ける」という声です。上司や先輩に商談のFBをお願いしたいけど、「忙しそう」「指摘されるのは勇気がいる」という感情が若手メンバーにあったそう。生成AIの客観的なFBのほうが気軽に聞ける側面もあるようです。
Smart at AIに対して要望はありますか?
高橋様:Smart at AIは毎月コンスタントにアップデートが行われています。そのアップデートは、利用者に不利益になるような変更もありません。M-SOLUTIONSさんは技術力も高く、利用者目線で非常に信頼感があります。今後もこのようなアップデートが続くことを願っていますし、新機能を使い倒したいと考えています。
今後の展望がありましたら教えてください。
高橋様:Smart at AIは弊社内で「業務改善の定番メニュー」になりました。プロンプトレスで生成AIを活用したいというニーズが生まれた際には、「Smart at AIを活用しよう」という話がすぐ出ます。現場側からも「プロンプト組み込み型アプリを作りたい」という声も出ています。今後も事業課題に応じて、クイックに仕組みをリリースしていきたいです。
Smart at AIで生成AIの敷居が下がり、生成AIそのものに興味を持つ社員も増えました。次のステップとして「そもそも生成AIとは何か」を学ぶ基礎研修を開始しました。生成AIを正しく理解することで、自身の業務に適切に落とし込み、活用できるようになるためです。
生成AI浸透が進んだのも、Smart at AIの存在があったからこそです。プロンプトレスで生成AIを使える仕組みがあったことで、生成AIの恩恵を「すぐに」「ラクに」感じられた。だからこそ、生成AIそのものを学ぶフェーズへと発展させることができました。
この生成AI基礎研修を社内にとどまらず、社外に外販しています。
現在、私たちはDX人材育成のための「DXリスキリング」というサービスを展開しています。kintoneや問題解決、プロジェクトマネジメントなどの研修サービスです。ここに、生成AIの基礎研修やSmart AT AI活用のラインアップを加えております。
最後にSmart at AIを検討している方にメッセージをお願いいたします。
高橋様:「まず使ってみる。実験してみる」ことが大事だと思います。
Smart at AIは、プロンプトレスでユーザーが自然に生成AIを使える仕組みが整っており、まずは無料で始められる点も含めて、初めの一歩として非常にオススメです。
また、生成AI活用について「最新技術を追求する必要があるか?」は、要検討だと感じます。新しいトレンドを追うことも一定の価値はあります。ただ、それ以上に業務改善を前提に、生成AIが本当にフィットするかを意識して進めることが重要だと考えています。これは、kintoneの導入プロセスと同じです。みなさんがkintone推進で実施してきたことが、そのまま生成AI推進に転用できると思います。
-ありがとうございました。
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