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2025/05/29 Smart at reception OneTouch

ホテルの無人フロントとは?ホテル運営者のための導入ステップと選び方

ホテルの無人フロントとは?ホテル運営者のための導入ステップと選び方
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人手不足が続くなか、受付業務の省人化や非接触対応を目的に「無人フロント」を導入する宿泊施設が増えています。
とくにスタッフ数が限られる中小規模ホテルではコスト削減と業務効率化を両立できる手段として非常に注目されています。

しかし無人化といってもやみくもにシステムを導入すればいいわけではありません。
チェックインの仕組みや鍵の受け渡し方法、システムの選定基準、さらには法的な要件まで、検討すべき項目は多岐にわたります。

本記事ではホテル運営者や施設責任者の方を対象に「無人フロントとは何か」から導入ステップ、必要なシステムの種類、
補助金の活用方法までを導入例を交えてわかりやすく解説します。導入の成功イメージを描ける一歩としてぜひ最後までご覧ください。

無人フロントとは何か?その定義とホテル運営形態との違い

無人フロントとはホテルや宿泊施設において、受付業務を人手を介さずに自動化する仕組みを指します。
従来のチェックイン・チェックアウトや宿泊者情報の記入などはフロントスタッフが対面で対応していましたが、無人フロントではこれらの工程をシステムが代わりに行うことで非対面・非接触の運営が可能になります。

本章ではよく混同される「無人ホテル」との違いも含めて無人フロントの定義を明確にしながら、
ホテル運営形態における立ち位置を整理します。これにより無人化を検討中の宿泊施設が自社に最適な運営スタイルを選択するための基盤を提供します。

無人フロントと無人ホテルの違い

無人フロントと無人ホテルはしばしば同じ意味で使われがちですが、実際には明確な違いがあります。
導入の目的や範囲を誤解すると運営トラブルにつながるため、まずはこの2つの定義をしっかり区別して理解しておきましょう。

  • 無人フロント
    チェックイン・チェックアウト、宿泊台帳の記入、鍵の受け渡しといったフロント業務の自動化に焦点を当てた仕組みです。
    スタッフは別の場所に常駐していたり、遠隔でサポート対応する形をとることが一般的です。
  • 無人ホテル
    施設全体において常駐スタッフが存在しない完全自動化型の宿泊形態です。
    受付業務に加え、清掃、問い合わせ対応、設備トラブルなどもリモートや外部委託によって対応するケースが多いです。

つまり、無人フロントは“部分的な無人化”、無人ホテルは“完全な無人化”を意味し、対象とする業務範囲が大きく異なります。
両者の違いを以下のように整理できます。

無人フロントが注目される背景と導入の広がり

無人フロントの導入が進んでいる背景には深刻な人手不足と非接触対応へのニーズの高まりがあります。
とくに小規模な宿泊施設では限られた人員で業務をまわすことが課題となっており、受付業務の自動化は現実的な解決策として注目されています。

また新型コロナウイルス以降では対面を避けたチェックイン・チェックアウトが求められるようになり、無人対応の需要は一気に加速しました。業務の効率化と感染症対策を同時に実現できる点が多くの施設にとって導入の後押しとなっています。

無人フロントの仕組みと導入に必要な構成要素

無人フロントの導入は単にスタッフの代わりとなる機械を置けばよいというものではありません。利用者がチェックインからチェックアウトまでストレスなく手続きを行えるよう各工程がスムーズに連携し、かつトラブルにも対応できる体制を整える必要があります。

このセクションでは無人フロントの全体的な運用フローを紹介しながらそれぞれの工程において必要となる機器やシステムを具体的に解説します。

無人フロントの運用フローと必要機器

無人フロントの運用は大きく5つのステップで構成されます。それぞれの工程には対応する機器やシステムが必要であり、これらを一貫して設計・導入することで初めてスムーズな無人運営が可能になります。

ステップ1:事前予約と本人確認

フロントの無人化を実現するために、まずはチェックインまでの準備が重要です。
宿泊者が事前に予約した情報を施設側の管理システムに自動連携し、到着前に本人確認を済ませる仕組みが必要です。

この段階で活用されるのがPMS(宿泊管理システム)と連動する「予約連携機能」
およびオンライン上で免許証やマイナンバーカードを確認できるeKYC(電子本人確認ツール)です。
旅館業法上も本人確認が求められるためこの部分は無人フロントを導入するうえでは欠かせないステップです。

ステップ2:チェックイン端末による受付

施設に到着した宿泊者は設置されたチェックイン端末で手続きを行います。
タブレット型の端末やホテル専用端末を使って、予約情報の照合や宿泊台帳の記入、そして再度本人確認の確認を行います。

端末には宿泊者情報の確認・宿泊台帳への記入・鍵の受け渡し連携など複数の機能が集約されており、
直感的な操作が可能であることが求められます。最近では外国語対応や音声ガイド機能を備えた製品も登場しており、
幅広い宿泊者層への対応が進んでいます。

ステップ3:鍵の受け渡しと部屋への案内

予約情報と本人確認完了後、宿泊者へ鍵を引き渡す必要があります。
このとき、鍵の受け渡し方法は施設の運用スタイルによって異なりますが、いずれも人を介さずに完結できる設計が求められます。

物理的な鍵を運用する場合はテンキー式の「キーボックス」に鍵を保管し、暗証番号で開ける方法が一般的です。一方ICカードを使う施設ではチェックイン端末と連動してカードキーを自動発行する方式も導入されています。

さらに先進的な施設ではスマートロックと連携し宿泊者のスマートフォンにURLやアプリ経由で「デジタルキー」を送信する形式が採用されています。

いずれの方式でも、宿泊者が迷わず部屋にたどり着ける導線づくりが重要です。

ステップ4:宿泊中の問い合わせ対応

無人フロントを導入する上で宿泊者からの問い合わせに対応する仕組みは欠かせません。
多くの施設では「チャットボット」や「ビデオ通話対応の遠隔サポートツール」を導入して
トラブル時や不明点への対応を行っています。

問い合わせは夜間に集中することも多いため、24時間サポート体制があると安心です。
実際の現場ではオペレーターの負担を軽減するため、よくある質問はあらかじめFAQとして自動対応させる設計も有効です。

ステップ5:チェックアウトと精算

無人フロントにおけるチェックアウトはできる限り宿泊者の負担を減らし、
自然な退館を可能にすることが理想です。最近では予約時にオンラインで事前決済を済ませているケースが大半を占めており、
チェックアウト時の支払い手続き自体が不要となることも珍しくありません。

ただし、現地決済を選択する利用者や追加精算(延泊・ミニバー利用など)が発生することもあるため、
自動精算機やQR決済端末の設置が望まれます。こうした端末はPMS(宿泊管理システム)やPOS(販売管理システム)と連携させることで会計処理を自動化し宿泊実績も一元管理できます。

予約段階から精算までを一貫してシステムで完結させることで、運営側の事務工数を大きく削減できるだけでなく宿泊者にとってもストレスのない滞在体験が実現します。

無人フロント導入のメリットとデメリット

無人フロントの導入は業務の効率化や人手不足の解消といった大きなメリットをもたらしますが、
一方でホスピタリティの低下やトラブル対応への備えといった課題も伴います。

この章では導入によって得られる代表的なメリットと考慮すべきリスクの両面を整理し、導入可否の判断材料として役立てていただきます。

無人フロントがもたらす7つのメリット

無人フロントには運営側・利用者双方にとって多くの利点があります。以下に代表的な7つのメリットを紹介します。

人件費の削減

受付スタッフを常駐させる必要がなくなるため運営コストの中でも大きな割合を占める人件費を大幅に抑えることができます。
例えば、24時間対応を求められる宿泊施設では深夜帯や早朝のシフト人員を確保する必要がなくなり、時間帯に応じた人件費の高騰も抑えられます。
人件費を省くことで収益率の改善や他の顧客サービスへの再投資にもつなげやすくなります。
とくに中小規模の宿泊施設ではこのコスト削減効果が経営の安定性に直結します。

人手不足の解消

宿泊業界全体で慢性的に人材不足が続いており、新規雇用も難航しているのもあって既存スタッフの負担が増している場合が多くあります。
無人フロントの導入により、チェックイン・チェックアウトといった定型業務をシステムが代替することでスタッフは問い合わせ対応や清掃管理など、より価値の高い業務に集中できるようになります。
人手不足に悩む施設にとっては現場の効率性と精神的余裕の両面を支える手段となります。

非接触チェックインによる感染症対策

新型コロナウイルスの流行を契機に対面接触を避けた運営が求められるようになりました。
無人フロントでは受付・鍵の受け渡し・決済までを人と接触せずに完了できるため宿泊者にとっても安心感があります。
とくに高齢者や基礎疾患のある方、感染リスクを気にするビジネス客にとって無人対応は選ばれる理由になり得ます。
施設としても安全性を高めつつクレームリスクの低減にもつながります。

24時間対応の実現

有人フロントでは深夜や早朝にチェックイン対応ができず対応時間に制限がある施設も少なくありません。
このため到着が遅れる宿泊者の受け入れが難しく、機会損失につながる場合があります。

無人フロントを導入することによって宿泊者はチェックイン・チェックアウト時間の選択幅が広がり、
遅い到着や早朝の出発にも柔軟に対応できます。時間帯に縛られない運営が可能になることで予約の幅が広がり、
利便性の高い施設として選ばれやすくなります。

外国語対応の強化

多言語対応の受付端末やチャットボットを活用することで、日本語が話せない訪日外国人でも
スムーズにチェックインが可能となります。有人対応ではスタッフの語学力に左右されたり、通訳ツールに頼る場合もありますが受付システムで一貫して対応することで一定の品質で案内を提供できます。
とくに観光地やインバウンド需要が高い地域では導入効果が高いです。

顧客情報の自動収集・分析

無人フロントのシステムは宿泊者の予約情報・チェックイン履歴・決済データなどを一元的に管理することができ、
マーケティング施策やサービス改善に活用できます。

手作業でのデータ入力が不要になることで情報の正確性が高まり、リピーター傾向や利用時間帯の傾向分析など
運営の意思決定に役立つデータを蓄積できます。顧客視点に立った運営ができるようになった点も大きな利点です。

業務の効率化とミス削減

受付業務がシステム化されることでチェックイン対応・鍵の発行・支払い処理といった一連の業務を自動で完結できます。
これにより、フロント業務でよくある人為的なミス(書類の記入漏れ、鍵の渡し間違い、金額の誤請求など)を減らすことができます。

さらに、ピーク時の受付業務の混雑解消にもつながり、スムーズなチェックイン体験を提供することで顧客満足度の向上も期待できます。

導入時に注意したい課題とデメリット

無人化による恩恵が大きい一方で、導入にはいくつかのリスクや注意点もあります。
想定外のトラブルを防ぐためにも、以下の課題を事前に把握しておくことが重要です。

ホスピタリティの低下リスク

無人フロントでは従来のような対面での丁寧な挨拶や細やかな気配りが行き届かないため
「機械的」「冷たい」といった印象を持たれる可能性があります。
とくに高齢者や機械操作に不慣れな利用者にとっては不安要素にもなり得ます。
対策としてUI(画面表示)の工夫や音声ガイド、多言語表示など対面に近い対応を行うことで印象を和らげることができます。

トラブル時の対応体制の重要性

システム障害や通信トラブルに加え、キーボックスが開かない、暗証番号が通らない、
あるいは鍵の配置ミスなど鍵の受け渡しを巡るトラブルも起こり得ます。
そうした場面で迅速な対応ができないと、宿泊者の不安や不満につながり、悪い口コミが拡散されるリスクもあります。
対策としてあらかじめチャット・ビデオ通話による遠隔サポート体制を整備することで、
現場に人がいなくても的確にフォローできる運営が可能になります。

初期導入コストと維持費

無人フロントのシステム導入には端末や受付システム、スマートロックなどの初期投資が必要となります。
施設の規模や導入範囲によっては数十万〜数百万円の費用が発生することもあります。
また、導入後も保守費・ライセンス料・クラウド使用料など継続的な維持費が必要です。
費用対効果を見極めるために稼働率や運営負荷の改善幅を定量的にシミュレーションすることが重要です。

ネットワーク・システム障害への備え

無人フロントではネットワーク環境やクラウドサービスへの接続が常時必要となるため、
通信障害が起きた場合には業務が完全に停止する恐れがあります。
とくにクラウド型の受付システムを導入している場合はバックアップ回線やオフライン対応機能を備えておくことが重要です。
災害時や停電時にも最小限の対応が取れるよう代替手段を想定しておくことが必要です。

 

無人フロント受付システムおすすめ4選

無人フロントを成功させるうえで、最も重要な機器の一つが受付システムです。チェックイン・本人確認・鍵の受け渡し・決済までの一連の流れをスムーズに処理できるかどうかは、このシステムの完成度に大きく左右されます。

ここでは、中小規模の宿泊施設でも導入しやすく、実績も豊富な3つの受付システムをご紹介します。それぞれの特徴や料金モデルを比較し、施設のタイプに合った選定の参考にしてください。無人運営に完全対応しているかどうかはシステムによって異なり、運営スタイルに応じた慎重な選定が必要です。

Smart at reception OneTouch

 

特徴:
 iPadとクラウドを利用した簡易受付ソリューション。遠隔ビデオ通話での受付対応が可能。

ポイント:
・iPad1台で運用可能、工事不要。
・シンプルなUIで高齢者などにも対応しやすい設計。
・TeamsやZoomなどの通話アプリに対応。
・鍵の受け渡しやスマートロック連携は別途対応が必要な場合あり。

 料金プラン例(参考)
初期費用:100,000円(税抜)
月額利用料:12,000円(税抜)〜
1契約につき、1拠点内最大5台までの設置が可能です。

RECEPTIONIST


特徴:

 企業受付向けに設計されたクラウド型受付通知サービス。iPadからの来訪通知に特化。


ポイント:

・ビジネスチャットとの連携に強み。
・宿泊施設での活用は限定的、無人チェックイン用には別途機能補完が必要。
・顧客対応よりも内線通知に適している構成。

LiveFrontDesk


特徴:

 遠隔対応が可能なチェックイン端末を備えた「半無人」型システム。


ポイント:

・ビデオ通話による本人確認と案内が可能。
・一部スマートロックや精算機との連携が可能。
・トラブル時の人間対応ができるため安心感が高い。

MujInn


特徴:

 民泊・簡易宿泊施設向けのセルフチェックイン機能を中心に設計されたシステム。

ポイント:
・パスポート読み取り・鍵の自動発行機能をオプションで選択可能。
・一部オフライン対応機能あり。
・初期費用ゼロから導入できる柔軟な料金体系。

 

導入施設の規模や運営スタイルに応じて、選ぶべきシステムのタイプは変わってきます。
どのサービスも、無料デモやトライアルプランを提供している場合が多いため、導入前に実機操作を試すことをおすすめします。

 

自社に合った受付システムを選ぶために

ここまで無人フロントに対応した代表的な受付システムを紹介してきました。ただ、選択肢が増えるほど「結局どれを選べばよいのか?」と迷う方も多いはずです。

実際の運用ではどのシステムが優れているかよりも「自社の施設にとってどれが適しているか」の視点が重要です。本章では受付システムを選定する際の確認すべきポイントを簡単に整理しました。

選定時に確認すべき4つの視点

① 施設規模と運営スタイル
施設の規模や運営の人員体制によって導入すべき適切な受付システムが異なります。
例えば小規模な民泊やゲストハウスではオーナーが1人で運営することも多いため、導入・運用がシンプルな
「iPad+キーボックス」などの低コストな構成で導入するのが現実的です。

一方で中規模以上のホテルではスタッフを複数抱え、チェックインが同時多発的に発生する場合が多いため、
自動精算やカードキー発行、PMS(ホテル管理システム)との連携など複合的な機能を持つ受付システムが求められます。
導入後に想定外のオペレーション負荷が発生しないよう施設の規模と必要な機能のバランスを見ることが非常に重要です。

② スタッフのIT対応力
どれほど多機能なシステムでも、使いこなせなければ意味がありません。
導入後に端末の初期設定やアップデート対応、トラブル時の対応が日常的に発生します。

ITに詳しくないスタッフでも問題なく担当できるように操作画面が直感的でわかりやすいことや、
ベンダーの導入サポート・問い合わせ体制が整っているかが選定の重要な基準になります。
とくに中高年のオーナーが対応する施設では「導入のしやすさ」だけでなく「運用のしやすさ」も重視しなければ、現場での混乱やシステムの放置につながるおそれがあります。

③ 宿泊者の層(高齢者・外国人など)
導入施設のターゲットとなる宿泊者の特性に応じた機能設計も重要です。

例えば訪日外国人が多い観光地域にある宿泊施設では英語や中国語などの多言語対応機能が欠かせません。
また、年齢層が高めの利用者が多い場合は操作画面の視認性や音声ガイドの有無など、誰でも迷わず操作できる工夫がされているかがポイントになります。

無人での受付は顧客がほぼすべてを自力で完結する必要があるため、ユーザーインターフェースの完成度や
利用者目線での設計が導入満足度を大きく左右します。

④ トラブル時のサポート体制
無人フロントは「完全放置」ではありません。
ネットワーク障害や宿泊者の操作ミス、スマートロックとの連携に不具合が発生など、
日常的に何らかのトラブルが発生することは避けられません。

その際にチャットやビデオ通話で宿泊者を支援できる遠隔サポート体制が整っているか、
あるいは導入したシステムの提供会社が施設側専用のサポート窓口を設けているかが選定する際に重視すべきポイントです。
とくに夜間無人で運営する施設では宿泊者の不安をすぐに解消できる仕組みがあるかどうかがクチコミ評価やリピート率にも直結します。

機能面だけでなく「サポート込み」でシステムを評価する視点が必要です。

迷ったときは「運用イメージ」から逆算

どのシステムも導入自体は比較的簡単ですが、実際に日々の運用で無理なく回るかどうかは別問題です。
選ぶ際には「自分が現場スタッフだったら扱えるか」「ゲストが迷わず使えそうか」という目線でシミュレーションしてみるとミスマッチを防ぎやすくなります。

導入に活用できる補助金・助成金情報

無人フロントシステムは長期的に見れば人件費削減などの大きな効果が期待できますが、導入時には端末費用やシステム構築費など、まとまった初期投資が必要となります。その負担を軽減する手段として、公的な補助金や助成金の活用が非常に有効です。

ここでは、宿泊施設を運営する事業者が比較的利用しやすい代表的な支援制度を紹介します。

2025年度 IT導入補助金(サービス等生産性向上IT導入支援事業)

IT導入補助金は経済産業省が主導する中小企業支援制度のひとつで、業務の効率化や生産性向上につながるITツールの導入費用を一部補助してくれる制度です。

無人フロントシステムも対象ツールとして認定されている場合があります。補助対象となるには導入するシステムが「IT導入支援事業者」を通じて登録されていることが必要です。対象経費はソフトウェア導入費や設定費、クラウド利用料など幅広く認められています。

  • 応募枠:通常枠(A・B類型)、デジタル化基盤導入枠(インボイス対応類型)
  • 対象経費例:クラウド受付システム導入費、初期設定費、保守費など
  • 補助率:1/2〜2/3(申請類型により異なる)
  • 補助額上限:10〜450万円(申請類型により異なる)
  • 注意点:申請期間と採択枠が限られているため、早めに導入時期の調整が必要です。
  • 直近応募期限:第1回締切日2025年5月12日(以降も複数回の公募予定あり)

 

IT導入補助金の公式サイトはこちら
https://www.it-hojo.jp/

中小企業新事業進出補助金(2025年度新設)

事業再構築補助金の後継として、2025年度に新設される補助金制度です。​中小企業の成長を促進する新事業進出や構造転換への投資を重点的に支援します。

これからホテル事業を新規で立ち上げるケースにも適用される可能性があり、とくに他業種からの参入や、高付加価値な宿泊事業への転換に取り組む場合は注目すべき制度です。

  • 応募枠:通常枠(A・B類型)、デジタル化基盤導入枠(インボイス対応類型)
  • 対象経費例:機械装置・システム構築費、クラウドサービス利用費、外注費、専門家経費など
  • 補助率:1/2
  • 補助額上限:750〜7000万円(申請類型により異なる)
  • 注意点:申請には認定経営革新等支援機関や金融機関の確認を受ける必要があります。

 

中小企業新事業進出補助金の公式サイトはこちら
https://shinjigyou-shinshutsu.smrj.go.jp/

各自治体の宿泊業支援助成制度

都道府県や市区町村によっては、観光業・宿泊業を対象にした独自の補助制度を設けている場合があります。たとえば東京都の「観光産業支援事業」や、大阪府の「宿泊事業者向け支援金」などがその例です。

こうした制度は、無人フロントのような感染症対策・業務効率化の取り組みを対象とすることも多く、国の制度よりも手続きが簡素なケースもあります。各自治体の観光課・産業支援課などを通じて、最新情報を確認するのがポイントです。

補助金や助成金は「申請のタイミング」と「条件の適合」が極めて重要です。とくにIT導入補助金では事前契約をしてしまうと申請できないケースもあるため、導入前から支援制度の調査と相談を行うことが推奨されます。

また、補助金活用を見越したうえで「対応可能なシステムベンダーを選ぶ」こともスムーズな導入を後押しします。

無人フロント導入に関連する法制度と注意点

無人フロントは便利で先進的な仕組みですが宿泊業という特性もあり、導入にあたっては旅館業法をはじめとするさまざまな法制度との整合性を保つ必要があります。行政とのすれ違いや法令違反を防ぐためにも以下の法的観点を事前に把握しておくことが不可欠です。

旅館業法に基づく本人確認と宿泊者名簿の管理

旅館業法では宿泊者の本人確認と宿泊者名簿の作成・保存が義務付けられています。​令和7年4月1日から施行される改正により、​ビデオカメラ等による本人確認や自動チェックイン機器を通じた情報の照合による本人確認が認められるようになります。

また、宿泊者名簿の記載については、宿泊者の自筆による記載が必須ではなく、予約時に得た情報を営業者が記載し、チェックイン時に宿泊者が確認する方法でも差し支えないとされています。

旅館業における衛生等管理要領についてはこちら
https://www.mhlw.go.jp/content/001439321.pdf

 

消防法上の安全管理体制の確保

消防法では宿泊施設における火災予防や避難誘導体制の整備が求められています。​無人フロントを導入する場合でも、非常時に迅速な対応が可能な体制を整備することが必要です。​具体的には火災報知設備の設置や非常口の明示、自動火災通報装置の整備などが挙げられます。​

地方自治体による独自条例・指導要綱への対応

旅館業法の運用は各都道府県や市町村の保健所が所管しており、地域ごとに独自のルールや指導要綱が設けられている場合があります。​無人フロントの導入に際しては管轄の保健所と事前に協議を行い、地域の条例や指導要綱に適合するようにすることが重要です。​

個人情報保護とセキュリティ対策

無人フロントシステムでは宿泊者の個人情報を取り扱うため、個人情報保護法に基づいた適切な管理が求められます。​具体的にはデータの暗号化やアクセス制限、情報漏洩防止策の実施などが必要です。​

以上のように、無人フロントを導入する際には旅館業法や消防法や個人情報保護法などの関連法令を遵守し、地域の条例や指導要綱に適合するようにすることが求められます。​導入前に管轄の保健所や消防署と十分に協議を行い、適切な体制を整備することが重要です。

導入前によくある疑問とその解消(FAQ)

無人フロントは効率化や省人化のメリットが大きい一方で、運営上の懸念や導入の不安もつきものです。ここでは事業者からよく寄せられる疑問をもとに事前に知っておくべきポイントと対応策をまとめました。

Q1. 旅館業法や自治体の規制にどう対応すればよい?

  1. 無人フロントでも、旅館業法に基づく「本人確認」や「宿泊者台帳の記録」は必須です。自動チェックイン端末やeKYC(オンライン本人確認)を導入すれば、法的要件を満たしつつ非接触運用が可能です。また、自治体によっては独自の運用指針があるため、導入前に保健所への確認は必ず行いましょう。

Q2. 万が一トラブルが起きたらどうすれば?

無人フロントを導入している施設では、チェックイン端末にチャットボタンやビデオ通話機能を搭載し、スタッフとすぐに連絡が取れる仕組みを整えています。たとえば「鍵が開かない」「画面が動かない」といった時も、遠隔のオペレーターが即時対応できる体制を用意することで、宿泊者の不安を最小限に抑えられます。

Q3. 無人だとお客様に冷たい印象を与えませんか?

「スタッフがいない=不親切」と感じる方がいるのも事実ですが、最近では非接触対応を好む宿泊者も増えています。例えば、タブレットの画面に丁寧なガイドや動画を流したり、遠隔対応で人の存在を感じられる設計にすることで、「簡単で安心だった」というポジティブな評価に繋がるケースが多くあります。

Q4. 小さな施設や民泊でも本当に使える?

無人フロントは、むしろ人員が限られる小規模施設にこそ効果的です。実際に、民泊やゲストハウスではiPadとキーボックスだけで構成されたシンプルなシステムで運営されている事例もあります。予約管理システム(PMS)と連携することで、1人でも複数棟を回せる体制を築いているオーナーも少なくありません。

Q5. ネットが切れたら受付できないのでは?

ネットワーク障害時にも最低限の運用を維持できるよう、オフラインモードを備えた端末や、鍵情報を事前送信する仕組みがある製品も存在します。また、モバイルルーターや予備回線を備えておけば、通信トラブルで営業できなくなるリスクも最小限に抑えられます。導入時の設計で防げる問題です。

Q6. 無人化したら満足度が下がりませんか?

人との接点が減ることで「サービスが簡素になった」と感じる方もいますが、現代の宿泊者は「スムーズさ」や「ストレスのなさ」を重視する傾向にあります。チェックインの待ち時間がなく、操作が直感的で、万が一のときにすぐ連絡が取れる仕組みが整っていれば、対面対応に劣らない満足度を実現できます。

 

まとめ

無人フロントの導入は深刻化する人手不足や非接触ニーズへの対応策として、今や中小規模の宿泊施設にとって現実的かつ効果的な選択肢となっています。受付業務の自動化により、人件費削減や業務効率化を図れるだけでなく、宿泊者にとってもスムーズで安心なチェックイン体験が提供できます。

一方で、法令遵守やトラブル時の対応体制といった運用面での備えも不可欠です。導入を成功させるには、施設の運営スタイルや規模に合ったシステム選定と、段階的な実装が鍵となります。本記事を通じて、自社に最適な導入方法を見つけ、無人化を前向きに検討する一助となれば幸いです。

弊社では様々な施設に併せ、無人受付対応やリモート接客を限りなくシンプルに実現できる受付システム「Smart at reception OneTouch」をご提供しています。

導入支援やご相談、価格についてご興味・ご関心がある方はぜひお気軽にお問い合わせください。

 

プロフィール

  • M-SOLUTIONSメディア編集部

    10年以上kintoneに携わっているkintoneのスペシャリストチーム。 kintoneだけでなく、サイボウズ関連製品や最新テクノロジーにも精通。 kintoneをより便利にする情報をお届けします。 kintone認定アソシエイト・アプリデザインスペシャリスト・カイゼンマネジメントエキスパート取得者所属。

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